更新:2017-11-28
更新:2017-11-28

保険のしくみについて

  • 自賠責保険、任意保険、搭乗者傷害保険、人身傷害補償保険についてご説明いたします。

自賠責保険と任意保険について


交通事故のご相談にお見えになる方には、自賠責保険と任意保険の違いについてご存じない方も少なくありませんので、まず、この点を簡単にご説明致します。

自賠責保険について


  • 自賠責保険(自動車損害賠償責任保険)とは、強制保険とも言われるように、自動車を運行させる場合は必ず加入しなければならない保険です(強制加入)。自動車と書きましたが、バイクや原付の運行についても同様に保険加入が強制されます。
  • この保険の目的ですが、自動車の普及に伴い、他方で交通事故によって生命・身体が侵害されることも増えましたが、被害者が賠償を求めても加害者に財産がない等の理由から被害の救済が図られないという事態が生じたため、人身事故の被害者に最低限の救済を保障するために、法律で強制加入保険の制度を定めたのです。
  • この自賠責保険によって、交通事故により生命・身体に被害を受けた被害者は、加害者の財産の有無や、加害者が示談に応じるか否か等に関わらず、加害者が加入している自賠責の保険会社に対して請求(被害者請求)をすれば、一定の保険金を受取ることができます。
  • ただし、上述したとおり、この自賠責保険制度は、人身事故の被害者に最低限の救済を与えようとしたものですから、自賠責保険だけで交通事故の被害者に必要十分な救済が保障されているわけではありません。
  • まず、自賠責保険の請求ができる被害者は、事故によって生命を奪われた、あるいは怪我を負わされた人身事故の被害者だけで、物損事故の被害者は自賠責保険の請求はできません。
  • また、自賠責保険から支払われる金額も、死亡の場合は3000万円まで、後遺障害がある場合は、後遺症の等級に従い、1級の3000万円(介護を要する場合は4000万円)から14級の75万円まで、傷害については120万円までと、一定の金額までしか支払われません。

任意保険について


  • このように、自賠責保険は、救済を受けることができる損害の範囲・程度の点で制限があります。しかし、現実に被害者が受ける損害が上記の自賠責保険の金額の限度を超えてしまうことは往々にしてあります(詳細はここでは割愛しますが、損害の内容は、治療費、入院費、交通費、葬祭費等の実際に支出したものだけでなく、近親者の付添看護費、休業損害、後遺症や死亡により得ることができなくなった将来の収入(逸失利益)、慰謝料等々多岐に亘ります。)。逆に、加害者の立場からすれば、自賠責保険ではカバーされないこれらの損害(死亡事故や重い後遺症の場合、一億円以上にもなり得ます。)を、自分の財産で償わなければならなくなるということになりますが、多くの場合、現実的に困難でしょう。
  • そこで、自動車保有者の多くは、強制加入保険である自賠責保険のみならず、任意保険に加入し、これらの高額な人身損害や物損事故について、賠償を行えるようにしているのです。そして、被害者の立場からすれば、自賠責保険では救済を受けられないこのような損害についても、加害者(実際は、加害者が加入している任意保険)から賠償を受けることが可能となるのです(相談者の中には、自賠責保険からの支払いを受けただけで、損害賠償請求の手続きが終わったと誤解されている方もいらっしゃいます(弁護士でない人に相談した結果、そのように誤解されている方もいらっしゃいます。)が、そのような誤解のなきようご注意下さい。)。
  • ただし、自賠責保険と異なり、加害者が加入している任意保険から賠償の支払いを受けるには、その保険会社との示談交渉、場合によっては訴訟などの法的手続をとる必要があります。そして、この保険会社との示談交渉が注意を要します。というのは、保険会社からの示談金提示額が、弁護士が被害者の代理人として交渉に関わった場合と比べてかなり低額になっているという実態があるからです。そして、このような実態を是正し被害者に適正な補償を行わせ救済するという点に、私達のような弁護士の存在意義があるものと自負します。この点については、当ホームページのトップページでご説明しております。

時効について


  • 自賠責保険と任意保険の仕組みという点からは少しはずれますが、私達が実務に携わる中で、被害者の方に注意して頂きたいのが時効(消滅時効)です。
  • 時効期間は、自賠責保険(被害者請求)が2年とされています(但し自賠法の改正により3年に延長されました。)。
  • また、加害者に対する民法上の時効期間は損害及び加害者を知った時から3年ですから、その間は賠償を求めることが出来ます(加害者が任意保険に加入していれば、実際はそこから賠償を受ける。)。
  • ただ、事故後、入院や治療を経て、時効期間を経過してしまったというケースは少なからずありますので、お早めに相談されることをお勧めいたします。 

被害者側の保険(搭乗者傷害保険、人身傷害補償保険)について


加害者側の保険だけでなく、被害者側の保険からも補償が


これまでは、自賠責保険や任意保険など加害者が加入している保険による被害者の救済についてご説明してきましたが、被害者側が加入されている保険によっても、被害がカバーされます。交通事故のご相談をされる場合には、被害者側(被害者、被害者のご親族、同乗者等)の任意保険の証書もご準備頂いた方がよいでしょう。

 

以下、このような保険として一般的な、搭乗者傷害保険、人身傷害補償保険について簡単にご説明致します。

搭乗者傷害保険について


  • 搭乗者傷害保険とは、保険契約で定められた車両に搭乗中に生じた事故により、搭乗者が負傷・死亡した場合に、一定金額の保険金(死亡保険金、後遺障害保険金、後遺障害介護保険金等)を受けられるというものです。受けられる保険金額は、保険契約により定められています。
  • 保険契約で定められた自動車の運行に起因する事故であれば、自損事故の場合でも保険金は支払われます。
  • 死亡保険金は、ひとつの事故により何人死亡しても、1名につき保険契約で定められた保険金全額が支払われます。
  • 後遺障害保険金は、職業、年齢、収入等に関係なく、後遺障害の程度に応じて保険金が支払われます。この点で人身傷害補償保険と異なります。

人身傷害補償保険について


  • 人身傷害補償保険とは、(従来の任意保険のように、加害者となった場合の被害者への賠償責任を担保するための保険ではなく、)保険契約者が交通事故により人身傷害を被った場合に、加害者の責任の有無や過失の程度を問わず、被害者側が契約した保険から、保険約款上の基準により算定された金額が支払われる保険です。つまり、この保険に加入している場合、加害者の責任がどうであろうと、被害者側が加入している保険から保険金を受けることができるのです。
  • そして、この保険は、直接の保険契約者(保険証券記載の被保険者=記名保険者)だけでなく、その配偶者、(記名保険者またはその配偶者の)同居の親族、(記名保険者またはその配偶者の)別居の未婚の子、保険契約で定められた自動車の搭乗者が被害者である場合にも、保険金が支払われます。
  • また、この保険では、保険契約で定められた自動車だけでなく、それ以外の自動車の運行に起因する事故も保険の対象になります。よって、自動車に搭乗中はもちろん、歩行中の事故でも保険金は支払われます。
  • ただ、受けられる保険金額の算定基準は、保険契約により定められており、加害者に対して賠償請求する場合(裁判所、弁護士の基準)に比べて、一般に低額です。しかし、人身傷害補償保険の場合、被保険者の過失割合で減額されることはありません。よって、被保険者にも過失があり、加害者に対する賠償請求で過失相殺が予想されるような場合には、人身傷害補償保険から保険金の支払いによって、より補償の実をあげることができます。